大和路線 (Yamatoji Line)

大和路線(やまとじせん)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)関西本線の加茂駅 (京都府)からJR難波駅までの電化区間に付けられた愛称。
天王寺駅 - 今宮駅間は大阪環状線と重複する。

日本の鉄道ラインカラー一覧は緑()で、選定理由は「古都の落ち着いたイメージと新しい開発エリアのイメージ」である。

路線データ

大和路線としてのもの。

管轄・路線距離(営業キロ):全長87.9km

西日本旅客鉄道(鉄道事業者):

加茂 - JR難波間 54.0km

軌間:1067mm

駅数:22駅(起終点駅含む)

複線区間:

複々線:天王寺 - 今宮(大阪環状線と並行)

複線:木津 - 天王寺・今宮 - JR難波

単線:加茂 - 木津

電化区間:全線電化(直流1500V)

閉塞 (鉄道):自動閉塞式

保安装置:

王寺 - JR難波間:ATS-P(エンコーダー方式)

運転指令所:新大阪総合指令所

最高速度

奈良 - 天王寺間:120km/h

全区間西日本旅客鉄道大阪支社の直轄である。

概要

奈良と大阪を結ぶ鉄道路線の一つ。
大和路線という愛称は1988年3月13日から使用されている。
JR発足後は大阪駅(キタ)への直通列車が毎時3本に増発された。
大阪府内の駅の利用者が多く、奈良県内では乗客が減るが、県内の学生の利用者などで少し増える。
利用者が少なくはないが、関西圏では古い車両や、短い編成の電車が多い。

現在、アーバンネットワーク運行管理システムの導入工事が行われているほか、平野駅付近では上り線の一部を使用して貨物列車が運転しているおおさか東線城東貨物線との分離工事が、奈良駅では高架化と共にバリアフリー対応工事が進められている。

大和路線各駅では乗車カードとしてICOCAおよびこれと相互利用可能なICカード(ICOCAを参照)が、またJスルーが自動券売機で乗車券に引き換えることで利用できる。

2004年の近畿交通審議会答申第8号で「輸送力の強化等によるサービス向上に資する事業」として、加茂 - 木津間の複線化が盛り込まれているが、複線化の動きはない。

運行形態

大和路線ではホームライナーである「やまとじライナー」と、大和路快速・快速列車・列車種別区間種別・おおさか東線運行形態・普通列車(各駅停車)が運転されている。

基本的に日中の大阪方面からは、普通が柏原駅 (大阪府)と奈良駅まで、快速が和歌山線直通、大和路快速が奈良方面への運転となっている。

以下に種別毎の概要を示す。

やまとじライナー

やまとじライナー(英字表記 Yamatoji Liner)は、木津発JR難波駅行1本(平日の朝ラッシュ時)と大阪発加茂行2本(平日の夕ラッシュ時)に運転されている。
乗車券のほかに乗車整理券が必要。
車両は特急形車両の国鉄381系電車(日根野電車区所属の旧国鉄色編成)が使用されるが、「やまとじライナー」の種別は特急ではなく快速であるため、乗車整理券を購入さえすれば青春18きっぷでも利用できる。

停車駅は、木津・平城山・奈良・法隆寺・王寺駅・天王寺駅・新今宮駅である。
すべての快速が久宝寺に停車するようになってからは唯一の天王寺 - 王寺間ノンストップの列車である。
なお、大阪のポケット時刻表には、新今宮・天王寺に停車する案内はされていない。

2009年3月のダイヤ改正で土曜日は運転取りやめとなり、平日のみの運転となった。

大和路快速

大和路快速(英字表記 Yamatoji Rapid Service)は大和路線の代表的な列車で、大阪駅 - 加茂駅 (京都府)間で昼間を中心に約20分間隔で運転されている(土曜・休日には朝や夕方にも運転)。
関西本線と大阪環状線を直通する快速列車は1973年の関西本線電化以来、国鉄時代から運転されていたが、「大和路快速」の名が付いたのは1989年3月からである。
この愛称は公募で付けられた。

始発・終着駅は天王寺で、天王寺(環状線ホーム)から京橋駅 (大阪府)・大阪・弁天町駅を経由して天王寺(大和路線ホーム) - 奈良 - 加茂と、大阪環状線を一周し、大和路線へ入る運転系統となっている。
そのため、加茂・奈良方面から大阪方面行の行先案内表示は「大和路快速 大阪環状線」と表示される。

全列車JR西日本221系電車での運転で6両編成が基本となっているが、ラッシュ時の前後には8両編成で運転される列車も存在する。
また土曜・休日の一部の大和路快速は、王寺で後部の4両または2両を分割し、和歌山線高田駅 (奈良県)・五条駅 (奈良県)方面へ直通運転をしている。
加茂発着の列車の一部は加茂駅で関西本線伊賀上野駅、亀山駅 (三重県)方面の列車と相互接続を行う。

120km/h運転に伴い、以前は大阪 - 奈良間は最速で41分、天王寺 - 奈良間は29分であった。
これは、運転曲線を221系の性能を極度に使ったものである上、過半数の乗客が乗降する天王寺や王寺での停車時間が十分に確保されていなかったため、数分程度の慢性的な遅延が毎日のように発生していた。
このため、2001年3月のダイヤ改正時の久宝寺駅停車を機に、大阪 - 奈良間の所要時間が最速44分に延長された。
さらに、JR福知山線脱線事故の影響でさらに余裕時分を足したこともあり、2006年3月18日ダイヤ改正では大阪駅 - 奈良駅間は最速46分、天王寺 - 奈良間は同33分と延びている。
また、このダイヤ改正で大阪方面行の列車は、木津または奈良で長時間停車するようになった。
これは列車の遅れを解消させる思惑があるといえるが、加茂駅からの所要時間は大幅に伸びている。

なお、天理教の例会があるときは桜井線の天理まで臨時運転されるときがある。

直通快速

おおさか東線直通快速(英字表記 Direct Rapid Service)は、2008年3月15日のおおさか東線部分開業により設定された列車で、おおさか東線・片町線・JR東西線経由で奈良 - 尼崎間で運転されている。
運転本数は1日上下8本で、朝に奈良発4本、夕方に尼崎発4本が運転される。
車両は剛体架線であるJR東西線を経由するため2集電装置パンタグラフのJR西日本223系電車6000番台 (宮原車)の宮原総合運転所所属車が使用されている。

平日ダイヤにおいて、奈良発尼崎行は、4本中3本が久宝寺で快速JR難波行(後述の柏原始発列車)と同一ホームで互いに乗り換えができるようにダイヤが組まれている。

なお、JR東西線の各駅と奈良の間には、直通快速以外にも木津経由の快速奈良行が2本、奈良発の快速と区間快速が各1本運転されている。

快速

快速(英字表記 Rapid Service)は、大和路快速に並ぶ代表的な列車種別で、ほぼ終日運転されている。
停車駅は、JR難波・新今宮・天王寺・久宝寺・王寺からの各駅である。
1997年3月のダイヤ改正(後述)で一旦は区間快速に統合されていたが、今宮に停車する大阪環状線直通の区間快速への誤乗等が相次いだことや今宮を通過するJR難波発着の区間快速との区別を図る目的で、2008年3月15日のダイヤ改正でJR難波発着の区間快速を再び快速とした。
昼間時はJR難波 - 和歌山線高田間を20分間隔で221系の4両編成で運転している。
高田行は王寺で奈良行に接続する。
(王寺の配線上、同一ホームでの接続は不可能なので、柏原で追い越した普通を待つ形になる)。
また1997年までの名残から高田で和歌山線(五条・橋本・和歌山方面行き)や桜井線との接続が考慮されている。

昼間時以外はJR難波 - 奈良・加茂間の運転が基本になるが、和歌山線へ直通運転する列車も設定されている。
そのうちの一部の列車は、奈良行または加茂行と併結(いわゆる多層建て列車)し、王寺で切り離しを行っている。
この場合に限り221系が限定運用される。
しかし、逆の運用は、王寺に誘導信号機がないため存在しない。
なお、朝ラッシュ時には桜井線から直通列車が運転されており、過去には夕方の桜井線直通列車や列車番号を変えて和歌山線五条駅以遠にも直通する列車も存在していた。

車両は221系4両編成の運転が中心(大和路快速は上記のとおり6両)である。
しかし、ラッシュ時には奈良電車区所属の国鉄103系電車系6・8両編成、国鉄201系電車6両編成(ウグイス色)や森ノ宮電車区所属の103系・201系8両編成も運用に入り、大阪環状線直通の区間快速と比べると車両のバリエーションが多彩である。

また、2008年3月15日のダイヤ改正により種別幕が交換されたため、「快速」の文字色が橙色から緑色に変更され、さらに幕の下部に大和路線のラインカラーである緑色のラインが追加されている。

柏原始発の快速

2008年3月15日のダイヤ改正で、本来は通過駅の柏原を始発駅とする快速JR難波行きが平日朝に3本設定された。
これは、おおさか東線開業に伴って新たに設定された直通快速が同線を経由して運転されるためで、天王寺・JR難波方面への補完の役割として運転されている。
この柏原始発の快速JR難波行きは、3本とも久宝寺で直通快速に同一ホームで連絡するようダイヤが組まれている。
なお、柏原終着となる快速は運転されていない。
天王寺駅では阪和線からの環状線快速列車に接続する列車もあるが、基本的には接続が考慮されていないケースが多い。

この柏原始発の快速について、柏原市が同駅に「祝柏原始発快速発車 暫定運行開始」の横断幕を掲げている。
この暫定運行については、JR西日本からは正式な発表はない。

区間快速時代の逸話

1997年3月のダイヤ改正による快速の区間快速統合後も、奈良電車区所属の103系(ウグイス色)には「快速」の幕は残された。
これは平日の朝ラッシュに運転される奈良発桜井・高田経由の区間快速JR難波行のうちの1本で使われていた103系または201系の方向幕に「区間快速|桜井・高田経由JR難波」の幕が入っていないためであった。
該当列車は「快速|桜井・高田経由JR難波」と表示して運転されていた。

区間快速

区間快速(英字表記 Regional Rapid Service)は、ラッシュ時に運行される種別で、大阪環状線内は各駅に停車する。
運転区間は大阪環状線 - 奈良・加茂間である。
環状線内では各駅に停車する関係で、大阪 - 京橋 - 天王寺間の混雑が激しい。
そのため、全列車8両編成の運転で221系も使われるが、奈良電車区所属の国鉄103系電車(ウグイス色。4両編成を2本連結)や森ノ宮電車区所属の103系(オレンジ色)・201系も運用に入る。
行き先幕は、大阪環状線を周回して天王寺が終点となる列車は「区間快速 大阪環状線」、京橋止めの列車は「区間快速 大阪・京橋」と表示される。

普通

普通列車(英字表記 Local)は各駅に停車する列車で、主にJR難波 - 柏原・王寺・奈良間で運転されている。
昼間はJR難波 - 柏原間・奈良間を20分サイクルで運転されている。
1995年9月30日の改正から柏原行の王寺延長で昼間は奈良行と王寺行のみになり、1997年3月8日から2006年3月18日のダイヤ改正までは昼間は王寺行と奈良行が20分サイクルで運転されていた。
そのため柏原 - 王寺間の各駅では、10分ヘッドから再び20分ヘッドになり本数が半減された。
奈良行普通は、柏原駅で待避した快速高田行の後続列車として王寺駅から奈良方面への乗客を集客する働きもある。

ラッシュ時間帯はJR難波 - 柏原・王寺間での運転が中心になるが、和歌山線の高田駅発着の列車も存在する。
高田行きに関しては王寺駅では4番線に入線する。
早朝にはJR難波 - 加茂間、JR難波から片道のみ奈良線への直通列車のほか、早朝深夜に王寺 - 奈良間の区間運転もある。
ラッシュ時間の前後には快速系統の運用上の都合で奈良 - 加茂間の区間列車もある。

車両は基本的に103系か201系の6両編成での運転だが、早朝・深夜には103系の4両編成、あるいは221系の6両、4両編成で運転されることがある。
過去には103系の3両編成で運転されていたり、昼間時間帯にもまれに221系6両編成での普通列車が運転されていた時期があった。
これは103系が検査などで入場した際の代走運用によるものである。

快速列車との接続、通過待ち

2009年3月現在、久宝寺・王寺と天王寺(一部列車のみ)で快速列車との緩急接続を行っており、平野駅 (JR西日本)や柏原でも快速列車の待避が行われている。

しかし、1994年9月4日の関西国際空港開港時のダイヤ改正までは天王寺で緩急接続を行い、平野や柏原で後続の快速を待避するダイヤが主体であった。
しかし、関西国際空港開港に伴う大阪環状線 - 阪和線直通列車の増発(関空快速、はるか (列車)の登場)によって天王寺では緩急接続が頻繁にできなくなった。
そのため平野で快速列車を待避する列車を増やすなどの努力がなされたものの、王寺方面行に関してはおおさか東線城東貨物線の貨物列車との兼ね合いもあり平野で待避する列車は数に制限があった。
このため、普通列車がJR難波を快速発車後すぐに出発しても、後発の快速列車が久宝寺付近で先行の普通列車に追いついてしまい、柏原付近まで快速列車は徐行運転を余儀なくされることが夕方以降を中心にしばしば発生した。
さらに2008年3月15日までは阪和線への短絡線が単線であり、大阪環状線 - 阪和線間の直通列車が平面交差することから、天王寺駅近辺でも徐行が強いられることもあった。

1997年に久宝寺での快速停車(当時は区間快速のみ)が実施されたのを機に、1998年に久宝寺に新たに待避線が設けられ緩急接続を行うパターンを主体としたダイヤに改められた。
それからは前述の普通奈良行が当時の区間快速高田行を待避する場合を除いて柏原で待避する列車は減少した。
しかし、2006年3月のダイヤ改正(JR福知山線脱線事故に伴うダイヤの見直し)からは再び柏原での待避が増加した。
特に王寺・奈良方面行においては久宝寺で後続の快速列車と緩急接続した後、わずか3駅先の駅でもう1本後続の快速列車を待つためダイヤに余裕が生まれる。
その反面、柏原では最長9分の待ち時間が発生し、柏原をまたいで普通列車を利用する客にとってはかなり不便になってしまった。

2008年3月のおおさか東線の開業により、王寺方面行きの普通列車は久宝寺で快速列車と緩急接続した後、続いて入線するおおさか東線の列車を待つダイヤが多く組まれるようになったため、おおむね久宝寺での停車時間が若干長くなり、柏原での停車時間が若干短くなった。

2009年3月14日のダイヤ改正では、王寺方面行の普通列車は平野での待避はなくなっている。
これは大阪駅北地区開発にともない梅田駅JR貨物の機能が、平野に近接する百済駅に一部移されるためである。
平野・百済に入線する貨物列車が増える事を見込んだ準備段階といえる。
詳細は平野駅 (JR西日本)駅構造を参照。

山の辺の道レジャー号

春・秋行楽時の土曜・休日に「山の辺の道レジャー号」が奈良・桜井線経由で高田まで運転されている。
大阪側の発駅は年度やシーズンによって、大阪発・JR難波発・両駅発と異なる。
現在では、大阪環状線・大和路線内は大和路快速・快速で運転し、桜井線内は臨時列車として運転している。
停車駅は、奈良まで大和路快速・快速の停車駅と同じで、桜井線内は年度により異なっているが、2008年のダイヤ改正では桜井線内全駅に停車している。
2006年3月のダイヤ改正よりJR難波発のみとなったが、2007年3月のダイヤ改正からは、数本ではあるが大阪発の列車も設定されている。
以前は、大阪 - 奈良間は定期の大和路快速、奈良 - 高田間は臨時普通列車として1往復の運転をしていた。
車両は221系が使用されている。

大和路線以外からの列車

上記のほか、木津 - 奈良間では奈良線の全列車と片町線の一部の列車が乗り入れており、奈良線直通で京都 - 奈良間に奈良線みやこ路快速・快速列車・区間快速が、片町線方面には快速・区間快速が、また大阪環状線と並行する新今宮 - 天王寺間には阪和線・大阪環状線から南紀方面特別急行列車や関空快速、紀州路快速、快速などが直通運転されている。
これらの列車についてはそれぞれの路線の項を参照のこと。

大晦日終夜運転

アーバンネットワークエリアでは一部の線区・区間を除いて大晦日から元日にかけての終夜運転が実施されているが、沿線に春日大社や朝護孫子寺などの社寺があり、ここ最近では奈良 - JR難波間で普通列車を概ね30分間隔で運転している。

なお、2001年3月のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の開業前、つまり2000年12月31日から2001年1月1日にかけての終夜運転までは、普通列車を「奈良 - 王寺 - 天王寺 - 西九条 - 大阪 - 京橋 - 天王寺」(いわば大和路快速のような運行形態)の形で概ね30分間隔で運転されていた。

また過去には阪和線の終夜運転の列車がJR難波駅まで乗り入れしていた時期もあった。

電化前の普通列車と各駅停車

1973年9月20日の電化以前には、JR難波駅 - 柏原駅 (大阪府)間運転の各駅停車のほかに天王寺駅 - 柏原間は平野駅 (JR西日本)・八尾駅のみに停車していた。
他は各駅に停車する「普通列車」が湊町 - 王寺駅・奈良駅間で運転されており、普通列車と各駅停車の間で停車駅が異なるダイヤが組まれていたことがあった。
また、亀山駅 (三重県)・名古屋へ直通する普通列車もあった。

ならシルクロード博関連

1988年の「ならシルクロード博覧会」の会期中には新大阪 - 西九条 - 天王寺 - 王寺 - 奈良(加茂)間に臨時快速列車が運転された。
また、御坊駅 - 奈良間(関西本線阪和貨物線経由)にも165系を使用した臨時快速列車が1往復設定されていた。

新大阪 - 奈良間直通の臨時列車は後述の「なら歴史キャンペーン」時にも「なら歴史探訪号」として運転された。

1997年までの快速

1997年3月8日のダイヤ改正までは大和路快速と同様に天王寺 - 王寺間はノンストップであり、JR難波発着の区間快速もラッシュ時が主体であった。
また昼間にはこの区間快速とは別に大和小泉駅・郡山駅_(奈良県)通過の快速(種別の色がオレンジ。当時は旧幕の字体であって赤色で表示)や、昼間のJR難波 - 高田間直通で和歌山線内各駅停車となる列車も「区間快速」ではなく「快速」として走っていた。
また、前述の2駅を通過するタイプの快速が登場する以前は、この種別の列車が「快速」として運転されていた。
大阪環状線直通の区間快速と停車パターンが違うのはこのことの名残であったが、2008年3月15日のダイヤ改正で同種の停車パターン(過去の快速に久宝寺を停車駅に加えたもの)の列車は再び「快速」を名乗ることとなった。

なお、電化前の気動車運転による快速は、設定当初王寺 - 奈良間の停車駅は郡山駅のみで、法隆寺駅・大和小泉を通過していた。
後に法隆寺が停車駅に加わり、1973年の電化と同時に大和小泉も停車駅に加えられた。

やまとじハリウッド号

2002年10月13日から11月24日までの第3を除く日曜日に奈良→桜島線桜島駅間で片道のみ運転された臨時列車。
森ノ宮電車区103系USJラッピング車6両編成が使用された。

なら歴史探訪号

JR西日本主催のなら歴史キャンペーンで2003年9月13日から12月20日までの土曜日に新大阪 - 奈良間に運転された臨時列車快速列車。
翌年の2004年の秋のシーズンにも運転された。
途中の停車駅は、天王寺・王寺・法隆寺で、定期の快速停車駅よりも削減されていたが、柏原で運転停車を行い後続の大和路快速を待避するなど、所要時間は大幅にかかっていた。
車両は、宮原総合運転所の国鉄117系電車300番台6両編成が使用されていた。

急行かすが

「かすが (列車)」は、2006年3月17日まで名古屋駅 - 奈良間に運転されていた急行列車である。
加茂(通過) - 奈良間で大和路線を通っていたが、1958年から1973年9月30日までは名古屋 - 奈良 - 湊町(現・JR難波)間で運転されていた(前身となる列車は1949年に登場、1966年まで準急列車)。
車両は1999年から廃止時までJR東海キハ75形気動車気動車が使用されていたが、湊町まで運転されていた当時は国鉄キハ55系気動車や国鉄キハ58系気動車気動車が使用されていた。
この「かすが」が廃止されたことにより、奈良県はJRの鉄道路線がある46都道府県でJRの優等列車が1本も走らない唯一の都道府県となった。

環状線内や他路線での遅延の影響について

大阪環状線や阪和線で発生した遅延は、大和路線の列車にも及ぶ場合がある。
また、阪和線から大和路線に乗り入れる221系の運用もあるため、阪和線にダイヤ乱れが発生するとJR難波発 快速加茂・五条行の列車にも遅延が発生する場合がある。

天王寺 - 新今宮間は大阪環状線と別線(複々線)で、新今宮からも大阪環状線とは別線を進むJR難波発着の列車がある。
また、大和路快速を運休および運転整理による発着駅変更してJR難波発着に切り替えることにより、若干ではあるが大阪環状線内での他路線からの直通列車の遅延の影響を緩和している。

使用車両

大和路線での使用車両について以下に記す。
なお、他路線が主体となる車両は記載していない。

JR西日本221系電車(奈良電車区所属)
主として快速系に運用されるが、早朝や夜間などには普通列車にも使われる。
和歌山線・桜井線にも乗り入れる運用がある。
1989年から投入された。

JR西日本223系電車6000番台 (宮原車)(宮原総合運転所所属)
おおさか東線経由の直通快速用の車両。
2008年3月15日ダイヤ改正より運用を開始した。
大和路線内では奈良 - 久宝寺間で運用される。

国鉄103系電車(奈良電車区・森ノ宮電車区所属)
奈良電車区所属の車両はすべて他路線(京阪神緩行線、大阪環状線、片町線など)からの転入で、関西本線には電化以来一度も通勤型新車投入がない。
電化当時の関西本線では大阪環状線や中央線快速から転入した国鉄101系電車が運用されていたが、1983年から1985年にかけ、京阪神緩行線への201系投入によって捻出された103系に置き換えられた。
6両編成と4両編成は奈良電車区所属車、8両編成は大阪環状線から乗り入れる森ノ宮電車区所属車である。

6両編成は主として大和路線普通列車およびおおさか東線での運用だが、ラッシュ時には快速や和歌山線、桜井線にも運用される。
京阪神緩行線(JR京都線・JR神戸線)・福知山線へのJR西日本321系電車投入により201系が大和路線に転用され、本系列の6両編成は本数が減少している。
それでも、おおさか東線の開業で6両編成の運用数自体が増えたため全面的な置き換えには至っていない。

4両編成は奈良線での運用が中心であるが、大和路線でも2本連結して8両編成として大阪環状線へ直通する区間快速で使用されるほか、大阪環状線内だけ(環状運転)の運用もある。

大和路線・奈良線の103系は長年に渡り関西圏や首都圏の各地から寄せ集められたため1編成の製造時期と形態が1両ごとに違う編成が多い。

1986年11月1日国鉄ダイヤ改正で編成両数を短くしつつ日中の運転本数を増やす施策が取られたため、国鉄末期からJR初期にかけては3両編成も存在した(ラッシュ時は2編成を併結した6両編成で運転)。
しかし、乗客増に伴い、1994年に京阪神緩行線への207系投入によって捻出されたサハ103形を組み込んで4両編成化され、現在は存在しない。

国鉄201系電車(奈良電車区・森ノ宮電車区所属)
元京阪神緩行線(JR京都線・JR神戸線)・JR宝塚線用で、森ノ宮電車区所属車(オレンジバーミリオン)と奈良電車区所属車(ウグイス)がある。
森ノ宮電車区所属の車両は、環状線用の8両編成で、ラッシュ時と早朝・深夜には大和路線の快速列車にも使用され、大阪環状線直通だけでなくJR難波発着列車にも運用される。
最長は加茂駅 (京都府)まで乗り入れる。
なお、この8両編成は2008年12月まで京阪神緩行線時代のままのスカイブルー塗装の編成が存在した。

奈良電車区所属車はすべて6両編成(ウグイス)。
転属計画の変更に伴い2006年12月から奈良電車区にも配属されたもので同月20日から営業運転に就いている。
2008年3月15日からはおおさか東線にも使われている。
大和路線・おおさか東線のほかに、早朝やラッシュ時には桜井線・和歌山線でも運用されている。

JR西日本207系電車(網干総合車両所明石品質管理センター)
奈良 - 木津間において片町線・JR東西線直通の区間快速・快速に使用されている。

国鉄381系電車(日根野電車区所属)
加茂・木津 - JR難波・大阪間の「やまとじライナー」に使用されている。

列車の向きについて

優先座席は各車両の加茂方

トイレは1・4号車

優先座席は各車両のJR難波方

221系4+4の8両編成時、トイレは1・4号車

103系では大和路線内において森ノ宮電車区所属車と、奈良電車区所属車で編成の向きが逆になっている。
森ノ宮電車区所属車は加茂方からTcMMTTMMTcで、奈良電車区所属車はTcMMMMTcであるが、優先座席や号車表示が逆にならないようになっている。

また、おおさか東線経由で運転される223系6000番台も大和路線内で編成の向きが逆となっている。
223系6000番台はJR宝塚線の運用を主体としており、大和路線内では他の列車と号車番号・優先座席・トイレの位置が逆になっている。
なお、207系は木津経由で運転されるため、優先座席が逆になることはない。

電車前面の白線について

大和路線に使用される103系・201系はほかのJR西日本の路線のそれらと違い前面に帯状の白線が塗ってあるが、これは踏切事故防止の目的で塗られている警戒色である。
関西本線湊町(現JR難波) - 奈良電化開業時には黄色(黄5号)に塗られていた(帯なしの時もあった)。
これは、直線区間が多く普通列車でもスピードを出すためや、直線のため見通しが良く、かえって油断して遮断機が降りても無理に横断する人や自動車に対して警戒を促すためのものである。

奈良 - 王寺間では沿線に住宅が少なく、水田・田園地帯を進むが、法隆寺 - 王寺間では大和川やその支流で奈良県特有の濃霧(特に春先から夏頃まで)が発生するため、視認性を上げるために警戒色が必要とされる。

駅一覧

普通列車は加茂駅 - JR難波駅間の全旅客駅に停車(表中では省略)

大和路快速:大阪環状線 大阪 - 鶴橋 - 天王寺間、和歌山線内は全駅に停車

快速:和歌山線・桜井線内は全駅に停車。
柏原始発列車はJR難波行きのみ運転

区間快速:大阪環状線内は全駅に停車

やまとじライナー:下り(1号)は木津発JR難波行、上り(2・4号)は大阪発加茂行

加茂駅 - 木津駅間は単線、それ以外の区間は複線

凡例

:特定都区市内「大阪市内」の駅
停車駅 … ●:停車、▽:その駅始発列車のみ発車、▼:JR難波行きのみ停車、▲:加茂行きのみ発車、|↑:通過(↑:矢印の方向のみ運転)、∥:経由しない

この区間の駅は全駅大阪市内エリア()に属する。

大阪環状線各駅からの接続路線は大阪環状線駅一覧を参照。

大阪駅以遠、京橋駅 (大阪府)経由天王寺駅まではすべての駅に停車する。

:芦原橋駅の駅間キロは今宮駅とのもの。
大阪駅の営業キロは運賃計算に用いる京橋経由のキロ数。
弁天町経由は61.5km。

平城山・郡山・三郷・河内堅上・高井田の5駅と、奈良(西口改札)はジェイアール西日本交通サービスによる業務委託駅で、あとはすべて直営駅である。

廃駅・廃止信号場については関西本線廃駅を参照。

過去の接続路線

法隆寺駅:近鉄天理線(近畿日本法隆寺駅)
八尾駅:関西本線貨物支線(関西本線阪和貨物線)
天王寺駅:南海天王寺支線

[English Translation]