六条院 (Rokujoin)

六条院(ろくじょういん、ろくじょうのいん)は、
『源氏物語』に登場する架空の建築物。
後述。

六条内裏の別名。
白河天皇、てい子内親王の御所。

六条天皇の追号。

六条院(ろくじょういん、ろくじょうのいん)は、紫式部作の『源氏物語』に登場する架空の建築物。
主人公光源氏の中年以降の邸宅。
転じて准太上天皇となって以降の源氏のことも指す。
モデルとして源融の河原院を始め、東三条殿や土御門殿など実在した邸宅が挙げられる。

概要

その名の通り、平安京の六条京極付近に四町を占める広大な寝殿造の邸宅。
西南部分に六条御息所の邸宅跡を含む。
「少女 (源氏物語)」帖で落成、光源氏はここに主だった夫人たちと子女を住まわせた。

四町は各々四季を象徴する。

辰巳(東南)の町が春、丑寅(東北)の町が夏、未申(西南)の町が秋、戌亥(西北)の町が冬に該当する。
それぞれに寝殿や対の屋があり、敷地は町ごとに壁で仕切られている。
が、互いに廊で繋がり往来が可能である。

春の町は光源氏と紫の上、明石の姫君が住んだ。
源氏と紫の上は東の対に居住。
(一時寝殿に住んだという説もあり)。
明石の姫君が入内し、女三宮が降嫁した後は、女三宮が寝殿の西側に住んだ。
明石女御が里下がりの際には寝殿の東側を住まいとした。
庭園は春の草木が無数に植えられ、高い築山と広大な池を有する。
池は隣の秋の町へと続いており、女房たちが舟で往来することもあった(「胡蝶 (源氏物語)」)。
六条院の中心として、踏歌節会(「初音 (源氏物語)」)や六条院行幸(「藤裏葉」)など数多くの華やかな行事・儀式の舞台となっている。
源氏と紫の上の没後、女三宮は三条宮に移った。
が、孫の女一宮が東の対に住み、同じく二宮も寝殿を休み所とした(匂宮)。

夏の町は花散里と夕霧 (源氏物語)が住んだ。

後に玉鬘 (源氏物語)が西の対に加わる。
夏向けに泉があり山里風に木々を配す。
南側に池、東側に馬場殿と馬屋が設けられている。
馬場では端午の競べ馬などが行われた(「蛍 (源氏物語)」)。
源氏没後は花散里が二条東院に移った。
そのため夕霧と結婚した落葉の宮が移り住んで養女六の君を迎えた。
六の君と匂宮の婚儀もここで挙げられた(「宿木」)。

秋の町は秋好中宮の里邸で、元あった御息所邸の庭園の築山などをそのまま生かしている。

紅葉や秋草が本物の秋の野以上に見事である。
春と秋には中宮主催の季の御読経が催された(「胡蝶」)ほか、明石の姫君の裳着もここで行われた(「梅枝」)。

冬の町は明石の御方が住んだ。

寝殿がなく対の屋二つが並ぶやや質素な作り。
敷地の北側は倉が並び、松林と菊の垣根を配する。
明石女御の最初の出産に際して、女御は方違えでここに移った(「若菜 (源氏物語)・上」)。

六条院の再現については、玉上琢弥案(大林組協力)、太田静六案、池浩三案などがある。
また風俗博物館で六条院の春の町の寝殿と東対の4分の1模型(池浩三監修)を、源氏物語ミュージアムで六条院全体の100分の1模型を公開している。

[English Translation]